勝目梓著『夢追い肌』読了。
1979年にグリーンアロー出版社より刊行された短編集。
出版社/著者からの内容紹介
底なしのエロスに溺れる男と女
再会した初恋の相手との性戯を描く表題作ほか全8作の官能短編集
20年ぶりに初恋の相手と再会した男と女。2人はそのままラブホテルに。鎮守の森での初体験と熟れきった性戯が交錯する表題作。憧れの映画スターのポスターをそれぞれ壁に張り、セックスを楽しむ2人の意外な秘密を描く「似顔絵セックス」など、大人の果てしないエロスを絶妙な筆致で表現した官能短編集。
目次
夢追い肌
別れは初夜に
肉の交信
肉の輪舞
夢よさらば
バイバイ・ブルース
騒ぎの果て
似顔絵セックス
解説 成田守正
感想
8作の中で面白かったのは、妻と愛人に最近同じような身体的特徴があることに気づいた男が、愛人の彼氏と妻にも同じようなつながりがあるのではと感じある実験を試みる「肉の交信」
スナックで出会い仲良くなった女性に年上の愛人と別れたいがなかなか別れられないと言われ、その理由が愛人は腋や股間の毛に性的興奮をするが妻は無毛症だという眉唾なもの。妻が無毛症でないと解かれば別れられるので調査して欲しいと頼まれた男が主人公の「夢よさらば」
堅物で真面目な妻に不満を抱える主人公が、知り合いからもらった山羊の目という香港みやげの性具を使ったことから妻が意識して夫婦の営みに積極的にならなかった理由を知り、そのことで事件を起こし刑事に取調べを受ける口調で綴られる「騒ぎの果て」の3作。
どの物語も意外に素直な主人公が一癖も二癖もあるキャラクターの術中にまんまとハマっていき、オチも普通の官能小説のように分かりやすくなっていないので想像しながら飽きずに読める。どの主人公も、カラッとしていて騙されたりしてもあまり恨んだりしないでまあしょうがないかみたいに考えるところもジメッとしないでいいかな。
好きなところは、「夢よさらば」の無毛症だと言われている妻に対して男が、視線を送り目が合いそうになるとそらしたり、声をかけられても逃げたりして、魅力的な年上の人妻に一目惚れしてしまったことに罪悪感を持ちつつも想いを止めることができない純情な若い男を演じ落とそうとするころ。ありがちだけどワクワクしながら読めてよかった。ここだけで1冊分読みたい。物語終了後の2人は繋がりがなくなったのかそれとも続いているのか。
あと作中で主人公が「バイオレンスとポルノをくっつけたような小説はセンスが悪く、色恋の沙汰は洗練されたやり方を選ぶべきなんです。」と語るなど著者の自虐ネタが含まれていたりして面白い。
関連
エロゲとか 『カレンダーにない日』 勝目梓
1979年にグリーンアロー出版社より刊行された短編集。
出版社/著者からの内容紹介
底なしのエロスに溺れる男と女
再会した初恋の相手との性戯を描く表題作ほか全8作の官能短編集
20年ぶりに初恋の相手と再会した男と女。2人はそのままラブホテルに。鎮守の森での初体験と熟れきった性戯が交錯する表題作。憧れの映画スターのポスターをそれぞれ壁に張り、セックスを楽しむ2人の意外な秘密を描く「似顔絵セックス」など、大人の果てしないエロスを絶妙な筆致で表現した官能短編集。
目次
夢追い肌
別れは初夜に
肉の交信
肉の輪舞
夢よさらば
バイバイ・ブルース
騒ぎの果て
似顔絵セックス
解説 成田守正
感想
8作の中で面白かったのは、妻と愛人に最近同じような身体的特徴があることに気づいた男が、愛人の彼氏と妻にも同じようなつながりがあるのではと感じある実験を試みる「肉の交信」
スナックで出会い仲良くなった女性に年上の愛人と別れたいがなかなか別れられないと言われ、その理由が愛人は腋や股間の毛に性的興奮をするが妻は無毛症だという眉唾なもの。妻が無毛症でないと解かれば別れられるので調査して欲しいと頼まれた男が主人公の「夢よさらば」
堅物で真面目な妻に不満を抱える主人公が、知り合いからもらった山羊の目という香港みやげの性具を使ったことから妻が意識して夫婦の営みに積極的にならなかった理由を知り、そのことで事件を起こし刑事に取調べを受ける口調で綴られる「騒ぎの果て」の3作。
どの物語も意外に素直な主人公が一癖も二癖もあるキャラクターの術中にまんまとハマっていき、オチも普通の官能小説のように分かりやすくなっていないので想像しながら飽きずに読める。どの主人公も、カラッとしていて騙されたりしてもあまり恨んだりしないでまあしょうがないかみたいに考えるところもジメッとしないでいいかな。
好きなところは、「夢よさらば」の無毛症だと言われている妻に対して男が、視線を送り目が合いそうになるとそらしたり、声をかけられても逃げたりして、魅力的な年上の人妻に一目惚れしてしまったことに罪悪感を持ちつつも想いを止めることができない純情な若い男を演じ落とそうとするころ。ありがちだけどワクワクしながら読めてよかった。ここだけで1冊分読みたい。物語終了後の2人は繋がりがなくなったのかそれとも続いているのか。
あと作中で主人公が「バイオレンスとポルノをくっつけたような小説はセンスが悪く、色恋の沙汰は洗練されたやり方を選ぶべきなんです。」と語るなど著者の自虐ネタが含まれていたりして面白い。
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